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我が家の駐車場と別荘に生える柘榴の木

2023.10.06

今から30年以上前の1990年代以来、我が家の経営する駐車場の庭と田舎の別荘の庭にはそれぞれ柘榴(ざくろ)の木が生えている。                   これ等は元々知人の家から貰った柘榴の実の種を土に埋めたのが発芽したのを育て上げたのである。
かつては鉢植えだったのが地面に植えてから次第に大きくなり、今では両方共に高さ約5mにまで成長し、以来15年目頃から実を成らせる様になり、最近では両方の木で30~40個位の実を成らせるまでに至っている。
そして我が家の庭の多数の樹木の中で、特に存在感のある木になってくれている。
良くぞ種からここまで大きくなって、多くの花を咲かし、多くの実を成らせてくれる様になった物だと感心している。
イギリスでは貴族や富裕層を中心とした”Gardening”が大変盛んで、何と国民の5割以上がガーデニングを嗜んでいる程である。
English Gardenに於いて、草木は先ず観賞する事に重点が置かれるのだが、其の上そこで育った果実を食べる事が出来ると、更に楽しみが増え、庭園としての評価も上がるのである。
我が家の駐車場の庭では30種類以上の草木の内、葡萄、柘榴、梅桃(ゆすらうめ)、そしてと別荘の庭では梅、無花果(イチジク)そして(渋)柿が食用出来る。

柘榴を学術的に解説するとミソハギ科ザクロ属の1種で落葉小高木で、ラテン語の学名は PUNICA  GRANATUM、ドイツ語ではGranatapfel(+baum)、英語では Pomegranateと言う。
高さは5~6m位にまで成長する。樹皮は灰褐色から褐色で成長すると共に黒みがかって行く。
葉は楕円形から細長い楕円形で滑らかで幾分の光沢がある。 
初夏の6月にい花が咲き、花は花弁は6枚で薄くて皴がある。
9月~11月にかけてい球形の果実を実らせる。
果実は花托(かたく)が発達した物で、熟すると大きさは直径約6~10cmで、重さは100~300g位になる。
赤い果皮は厚めで秋に完熟すると自然に不規則に裂けて、中から大量の赤い半透明の果肉の粒(中に種がある)が露になる。                              柘榴は紀元前の太古の時代から庭園に於ける観賞用に栽培されている。
其の上、古代ギリシャの医学者Hippocrates (BC.460~BC.370頃) の記した書物の中に記述がある等、柘榴の実は同様に紀元前の時代より食用にもされている。
果皮が裂ける品種は日持ちが良くないので、裂果しない品種が食用として栽培される。
食べられるのは実の果汁が多く含まれる種子の外部を覆う部分でである。
爽やかで甘酸っぱい味である事から現在ではジュース、果実酒、シロップ、そして清涼飲料水の原料としても利用されている。                                 主な栄養素としてはカリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、ビタミンB1、B2、B6,C、ナイアシン、パントテン酸等を含んでいる。                        其の栽培地は中近東を中心に南ヨーロッパやアメリカ南部、中国、等広範囲に渡り、日本には平安時代の延長元年(923年)に中国から渡来したと伝えられる。  
鎌倉時代中期には栽培も始まっているが主に観賞用であった。                 
柘榴が広範囲に江戸時代で、其の果汁を菓子に用いたり、医薬品の原料としても利用され、乾燥させた樹皮または根皮は古くから除虫材薬として用いられていたし、更には口内炎や扁桃炎のうがい薬にも用いられたという。  
又、変わった用途では金属製の鏡の研磨の為にも使われた。                     
柘榴も長い歴史の中で自然環境に適応して変化した物や、人為的に改良、交配によって出来上がった品種等、多数が存在する。 
  
ヨーロッパでは古来より柘榴は"Ewige Vornehmheit"「永遠の高貴さ」の象徴として愛好されている事から、キリスト教の宗教画の中の主Christ、又は其の聖母Maria、そして肖像画の分野では王侯貴族達が柘榴を持った姿で描かれている事が度々見受けられる。
何故ならヨーロッパ各国の王室ないしは皇室にはKrönung-zeremonie(戴冠式)の際に国主が身に着けるKrone, Zepter, u, Reichsapfel があって、其の中のReichsapfelが柘榴に似ているからである。   
これ等は丁度、日本の皇室の「三種の神器」即ち「八咫鏡」(やたのかがみ)、「草薙剣」(くさなぎのつるぎ)、「八尺瓊勾玉」(やさかにのまがたま)に相当する器物である。 
余も士族出身者としてヨーロッパの王侯貴族に習い、そして柘榴の色が我が最愛の色のである事から柘榴を赤い薔薇と並んで好んで何度も(※テンペラで)描いている。(※膠を混ぜた水彩絵の具)
同じく絵画の分野で他の例を挙げると、17世紀オランダ絵画の静物画に於いて、果物は美味で栄養価が高けれども、腐り易い事や、悪い虫が付き易い等の短所から、"Vanitas-Symbol"(虚しさ、儚さの象徴)として描かれる事もあった。 
 
又、Symbolik(象徴学)やPsychologie(心理学)の分野で果物は女性的な性質を意味しており、特に球形の果物(例:メロン、林檎、梨、桃、イチジク、グレープフルーツ、等)は女性の(豊満な)乳房や尻を象徴しているのである。 
一方で棒状の野菜、果物(例:人参、胡瓜、茄子、とうもろこし、バナナ、等)は男性の生殖器を象徴しているのである。                                    
オーストリアの心理学者Siegmund Freud(1856~1939)は人間が睡眠中に見る「夢」について深く研究し、其の中に出現する事物や人物、其の他の生物が、夢を見た人物にとって如何なる意味を表しているのかを詳しく分析し解釈していた。
(此れが所謂 "Traums Analyse und Interpretation"「夢の分析と解釈」である.) 
人間が活動している時には "Äußere Bewußtsein" od, "Ä,Wahrnehmung" 「顕在知覚」又は「顕在意識」は主に日常生活ないしは現実社会の中に存在する物事、人物、其の他に作用している。                            
一方、眠っている時に "Innere Bewußtsein" od, "I,Wahrnehmung"「潜在知覚」又は「潜在意識」が作用して、普段意識していない心の奥に潜んだ願望、欲望、其の他の「情念」が具体的に現れて来るのが「夢」なのである。    
故に「夢」を分析、解釈する事によって、人間が普段自分で意識していないPersönlichkeit(人間性)が解明されるので、此れはPersönlichkeitsanalyse(人格分析)に於いて大変重要な学術なのである。                           
此の様な意味から分析すると、柘榴も他の球形の果物と同様の事を象徴するので、余が色()の好みだけでなく、「爆乳美人」が大好きである事も柘榴に魅せられる原因なのかも知れない。             
其れでも尚、余は前記の柘榴が象徴する通り"Ewige Vornehmheit"「永遠の高貴さ」を引き続き自らの人生に留めて置きたいと願うばかりである。

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