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我が家の駐車場に生える葡萄の木と文化史の中の葡萄

2020.09.15

我が家の経営する駐車場ではガーデニングを嗜んでいるので様々な草木があり、1年を通じて四季折々の花や実を生らしている。
例:薔薇、野薔薇、山法師、葡萄、梅、木瓜、蔓日日草、百合、紫陽花、百日紅、柘榴、紅葉、雛菊、老鴉柿、欅、椿、南天、水仙、山茶花、雪柳、梅桃、沈丁花、空木、フリージア、小手毬、紫蘭、ゼラニウム、常盤忍、折り鶴蘭、他

此の中でも葡萄の木(マスカットの一種)は特に大きな植物である。
此の葡萄の木は駐車場の端の地面に根を下ろし、駐輪場の屋根の下にある物干し竿に蔓を巻き付けて葉を生い茂らせて、毎年8月~9月初頭頃まで美味しい実を沢山生らしてくれる。
此の木が植えられて既に20年以上になるが、2017年頃までは毎年平均70房以上位の収穫であった。
ところが2018年以来、特別に手を加えてもいないのに此の葡萄の木は年毎に蔓を伸ばして巨大化し、果実の収穫量も関係して増えて行った。
2018年には約105房、2019年には約120房、そして今年は何と200房を超えてしまったのである!
今年は我が家の葡萄の木は事の他巨大化し、前記の様に大量の実を生らしたので、其の重量に耐えられず物干し竿に追加して置いた直径約5cmの竹竿が折れてしまったのである。
そこで余は取り急ぎアルミ製のより頑丈な物干し竿を購入し、竹竿のあった所に設置し、更に其の下に折れた竹竿を支柱として追加して置いた。

今年は梅雨前線が7月終わり頃まで日本列島上に停滞し、其の結果7月は晴れた日が僅かしか無かった。
此の影響で全国では多くの農作物は十分な光合成が出来ず、根腐れ等の病気を起こして駄目になる物が続出した。
8月には打って変わって日照り猛暑が続き、今度は水不足で多くの農作物が乾燥して立ち枯れる等の被害に遭った。
其の様な異常気象にも拘わらず我が家の葡萄の木はよくぞ此れ程まで多くの実を生らしてくれたものだと関心している!
しかし如何に美味とは言えども、此れ程多くの実は我が家だけではとてもではないが食べ切れない故、日頃から親しくしている我が家の親類や友人達の8世帯に分け与えているのである。
幸いにして彼らも皆「家族みんなで喜んで食べている。」と言ってくれるので、余も此の葡萄を育てる甲斐があると云うものである。

人間にも様々な性格がある様に、植物にもそれぞれの性質がある。
故にそれぞれの植物に適した栽培法で育てなければならない故、余は我が家に生える植物については植物図鑑、専門サイトで学術的な調査をし、更に我が親族の植物の専門家(農業)に該当する植物の育て方について相談し助言してもらっている。 
そこで此れより葡萄に関する学術的な事柄を書いて行く。

葡萄はブドウ科(Vitaceae) ブドウ属の蔓性落葉低木で、此れに生る果実をも同名で言う。
ラテン語の学名は”Vitis spp”, 英語名はGrape、ドイツ語名はTraube 、そしてフランス語名はVigneと言う。
原産地はユーラシア大陸のコーカサス地方、そして北アメリカに大別される。
葡萄の祖先種は約1億4000万年前の「白亜紀」前期に出現し、第3期暁新世(約6500~5500万年前)には現在のブドウ属が繁殖していたと推測される。
其の後「氷河期」を経て「ヨーロッパ種群」、「北アメリカ種群」、「東アジア種群」の“3大ブドウ種群”が形成されている。
尚、ブドウ属の植物は数十種あり、北アメリカ、東アジアに多く見られ、インド中東、南アフリカにも自生種がある。
日本の山野に生える山葡萄、蝦蔓、三角蔓もブドウ属の植物である。
現在の葡萄でワイン用、レーズン用又は生食用に栽培されているのは、ペルシャないしはカフカスが原産地のV.vinifgera(ヴィニフェラ種)と北アメリカ原産のV.labrusca(ラブルスカ種)である。
栽培される葡萄には生食用品種並びに加工用品種があり、加工用はワイン醸造、レーズン、ジュース等に使用される。生食用はTable grape(テーブルグレープ)、加工用はWine grape(ワイングレープ)と呼ばれる。

食文化の歴史の中での葡萄は大層古く、考古学者による推定では今から数万年も前から食用のみならず、ワインの原料として利用されていたらしい。
ワイン製造の原点は葡萄の原産地のコーカサス地方、カスピ海沿岸ないしは其の周辺の中近東であると見て間違い無い。
此の原産地を始まりに、紀元前2250年頃から古代バビロニア、紀元前2000年頃には古代エジプト、紀元前1700年頃には古代ギリシャに伝来し、複数のPolis(都市国家)の発展とギリシャ人達のワインへの愛着と、植物学者、哲学者等の知識、技術に依ってワイン醸造は目覚ましく進歩した。
紀元前750年頃にはイタリア半島に都市国家Romaが建国され、ギリシャからワイン醸造技術が伝わり、イタリアはギリシャ以上に気候、土壌に於いて葡萄栽培に適した土地であったので、ワイン醸造は大いに発展した。
ローマ帝国がヨーロッパに領地を拡大させるに連れて、ローマ文化の1つとしてワイン醸造がヨーロッパ各地に浸透して行った。
紀元前100年頃にはGALLIA(現フランス)のBordeaux地方、Provence地方、 Rhône川沿岸、HISPANIA(現スペイン)のAndalucía地方、ポルトガルの大西洋沿岸、GERMANIA(現ドイツ)のRheinland地方、等の南東ヨーロッパ各国に醸造圏が拡大し定着して行った。

中世(10~14世紀)のヨーロッパではキリスト教が各国の正教となって、ワインは「キリストの血」即ち聖なる飲み物として重宝された。
故に一部の教会や修道院が独自の葡萄畑とワイン醸造所を所有し経営する事に依ってワインの価値を高めて行った。
古代ギリシャ、ローマそして中世初期のヨーロッパでは葡萄及びワインは専ら支配階級、特権階級の為の物であったが、15~16世紀と時が経つに連れて、一般の農家でも葡萄畑を経営する者が増えて行き、葡萄も此れを原料にするワインも庶民の間でも嗜まれる様になった。
此れに依ってワインの需要が急速に高まると、其れまで農業の一部として葡萄を栽培していた農家の中には、葡萄畑とワイン醸造を専門とする業者が出て来た。
そして商業界でもワインを買い取り、貯蔵、販売する専門業者も現れる様になった。
当時のワイン業者はワインの貯蔵や運搬には初期の頃には樽や瓶や壺を使っていたが、陶器製又はガラス製のビンが使用される様になって以来、ワインの流通性は著しく高まった。
更に17世紀に於けるコルク栓の発明、使用はワインの貯蔵、熟成のみならず品質をも向上させた。
こうしてワインは社会で更に高まる需要に呼応して、大量生産及び品質の向上を成し遂げて行った。
18世紀、19世紀には、ヨーロッパのワインの主要な生産国(例:フランス、イタリア、ドイツ、スペイン、ポルトガル、ギリシャ、ハンガリー、ブルガリア)では様々なワインに関する法律、ないしは醸造業者間での自主規制が制定され、此れに依って葡萄栽培及びワインの醸造技術は更なる進歩を遂げて行った。
かくして葡萄栽培とワイン醸造は昔ながらの伝統と最新の学術が融合する事に依って現在にまで至っている。

次に葡萄の栄養について以下の通り書き記しておく。
葡萄の可食部100g当りに(糖質からのエネルギー生産と、皮膚や粘膜の健康維持を助ける)ビタミンB1:0.04mg、(糖質、たんぱく質、脂質の代謝、エネルギー産生に関与する酸化還元酵素の補酵素として作用する)B2:0.01g、(酵素の働きを助ける成分として多くのアミノ酸の代謝を助長する)B6:0.04mg、(皮膚や粘膜の健康を維持し、抗酸化作用を持つ):2mg、(強力な抗酸化作用で、活性酸素の害を消去して細胞の老化を防ぐ):0.3mg、(コレステロール抑制に効果的な)ナイアシン(ビタミンB3):0.1gを含む。
ミネラル系では(細胞の浸透圧を維持、酸・塩基平衡の維持、神経刺激の伝達、心臓機能や筋肉機能の調節、細胞内の酵素反応の調節等の作用する)カリウム:130mg、並びにナトリウム:1mg、(骨や歯の主成分となる、細胞の分裂・分化、筋肉収縮、神経興奮の抑制、血液凝固作用の促進に作用する)カルシウム:6mg、(骨や歯の形成を助長する)マグネシウム:6mg、並びにリン:15mg、(赤血球のヘモグロビンの材料となり、エネルギーの元になる):0.1mgを含む。
其の他、(筋肉や臓器、肌、髪、爪、体内のホルモンや酵素、免疫物質などを作り、栄養素の運搬を行う)たんぱく質:0.4g、脂質:0.1g、(糖質と食物繊維に分解され、糖質は脳や筋肉等の生命維持の為の主要エネルギー源となる)炭水化物:15.7g、灰分:0.3g、葉酸:4μg、パテトン酸:0.1mg、(皮膚・粘膜を丈夫にし、視力維持、癌の予防、免疫力強化、老化防止にも作用がある)カロティン:21μg、(胃腸の調子を整える)食物繊維:0.5gをも含んでおり、多種多様な野菜、果物の中でも特に栄養の豊富な果物である。

又、葡萄の糖分の殆どがブドウ糖果糖であり、これ等は体内に即座に吸収され、新陳代謝の経過を待たずに其のままエネルギーとなるので、疲労、体力回復に非常に効果がある。
更にブドウ糖果糖は脳の為に直接栄養源となり、脳の機能を活発にし、集中力を高める効果がある。
因みに余も今年は昨年の疲労と今年の夏の異常気象が悪影響して、久方振りに夏バテしたのだが、我が家の葡萄を大量に食べる事に依ってすっかり立ち直り、日常のウェイトトレーニングに復帰する事が出来たのである。
葡萄の皮には特にポリフェノールアントシアニンが多く含まれている。
ポリフェノールは癌や動脈硬化の予防に効果がある。
其の証拠に世界で最もワインを飲むフランス人はヨーロッパで最も癌の発症が少ないと言う統計がある位である。
アントシアニンは特に赤葡萄に多く含まれ、目の疲れ、病気の治癒、視力回復、そして活性酸素の除去、更に最近の研究では食物アレルギーの抑制にも効果があると証明されている。

結びに我がドイツの地元Brandenburg州の葡萄にまつわるEpisode(逸話)を紹介する。
1701年に成立したKönigreichⅢ(プロイセン王国)の第3代国王FriedrichⅡ世(Der Große)陛下は1740年に父君Friedrich WilhelmⅠ世陛下の後を継いで御即位された。
故に当初はKronprinz(王子)であられた時代に御住まいになられていたSchloß Rheinsbergより首都Berlinに御戻りになる予定であった。
Berlinには王室代々のKönigliches SchloßやSchloß Charlottenburg等の壮麗な宮殿があるのだが、Friedrich der Große陛下は喧噪な首都に御住まいになる事を望まれず、郊外のPotsdamに御自らデザインされた新宮殿Schloß Sans Souciを1745~47年に地元出身の建築家W.Knobelsdorfの指揮の元建立されたのであった。
そして宮殿の下半分に階段状の”Weinbergterasse”(ワイン葡萄畑付きテラス)を御築きになり、ここでワイン用葡萄を栽培される計画であった。
にも拘わらずBrandenburg州の気候は葡萄栽培の為には余りに寒過ぎた故、葡萄は残念ながら十分なワインを収穫するまでには育たなかった。
其の代用として”Weinbergterasse”にはFeige(イチヂク)の木が現在でも一緒に栽培されている。
時は流れてFriedrich Wilhelm Ⅲ世陛下の統治時代になり、皇帝Napoleonの率いるフランスを打倒したプロイセン王国、オーストリア帝国、イギリス王国そしてロシア帝国によって”Wiener Kongreß”(ウィーン会議 1814年9月18日~1815年6月9日)が開催された。
此れに依って、Königreich Preußenは新たな領地としてドイツ西部の州Rheinlandを獲得し、遂に念願の良質なワイン、即ちRhein Gau並びにMosel-Saal-Ruwerを自国産のワインとして製造、販売出来る様になったのである。


2022年の追伸:
今年は葡萄の木が予想外に巨大化し、其の蔓を隣の柘榴の木にまで巻き付けて行った。 其の結果、驚異的な数の房が実ってしまったのである。                 
余りにも房の数が多いので今回は正確に数えていないのだが、2020年の収穫が約220房であったが、今年は確実に其の2倍の量は収穫している。   
其の証拠にナイロンの買い物袋に約20房を入れたのが、計23袋にもなった事から、約460房位収穫出来たと見るべきである。                     そして此度も我が家だけではとても食べ切れない故、我が家の親戚、友人達の計14世帯に18袋を進呈した次第である。(1本の葡萄の木から此れ程大量の房が採れた事を話すと流石に皆驚いていた。)                        
しかし今年の収穫は今まで前例がない程手間が掛かった。              
と言うのはただ房の数が多いだけでなく、余の手が届かない様な高い所にまで蔓が伸びて房が実っているので、脚立に立って採ったり、「高枝切鋏」で切り取ったりしなければならなかったのである。                               
更に柘榴の枝の間に巻き付いた蔓に実った房を採る時には両腕を柘榴の棘で刺されるし、其の上両脚は蚊に毎回約20か所も刺される始末である。              (途中で虫よけスプレーがあるのを思い出して、此れを使う様になって以来、虫刺されはかなり防げる様になった。)                           此の様な収穫を8月7日から始めて毎日繰り返し、ようやく1か月後の9月7日になって作業を終了した次第である。                           此れ程巨大化して驚異的な数の房を実らせる我が家の葡萄の木は最早「化け物」を通り越して「御神木」にまでなったと思えるのである。

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