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ビューティシルク シルク美容室 の日記

F.BoucherとTh.Rousseauの絵画を基にした鉄版画と銅版画

2020.05.30

本日5月19日、良く取引をしている京都の古美術商より、フランスのRococo絵画の巨匠François Boucher(1707~1770年)の絵画を基にJaques Firmin Beauvarlet(1731~97年)が制作した鉄版画"Ansehnte Botschaft"(「待ち望んだ使い」ドイツ製:Druck u, Verlag A.H.Payne Leipzig/Dresden 1840年代後半発行)、及び同じくフランスのBarbizon派の巨匠Théodore Rousseau(1812~1867年)の絵画を基にDelauneyが1880年に制作した銅版画"Clairirère"(「森の隙間」フランス製:A.Salmon Paris発行)を入手した。
本来、当古美術商は専ら着物等の和装、並びに日本の古美術、伝統工芸品を中心に取り扱っているので、今回の様に思い掛けないヨーロッパの古美術品を当店で見付けて購入した事には大変喜ばしき事である!

鉄版画"Ansehnte Botschaft"(待ち望んだ使い)は表面に多くの油紙から付着した染みが見られる為、外見の美しさを考慮した上で、余が自らの手で修復した。
其の方法とは、先ず食器用漂白剤を付けた筆で染みを除去し、染みが除去されて白くなった部分に、焦げ茶色の色鉛筆で紙の色に合う様に極薄く着色するのである。
以前にも余は2001年に我が地元BerlinのAlexanderplatzにて開催されていたWeihnachtsmarkt(クリスマスマーケット)にて購入したF.W.Opitz著の"Heilige Stunden einer Jungfrau"(Verlag von E.Haynel 1875年)(「乙女の聖なる時間」)の挿絵の鉄版画の油染みを水で薄めた食器用漂白剤で綺麗に洗浄した事があるので、躊躇無く作業を進められた。
早速、額縁に入れて見たが、修復後の違和感も全く無く見栄えがする様になった。

此の版画の題名"Ansehnte Botschaft"は主役の女性が見つめる方向から飛んで来るBrieftaube(伝書鳩)を意味している。
Rococo美術では意図的にKurve(曲線)を常に採り入れる事に従って、此の絵も楕円形の画面に曲線によるKomposition(構成)によって描かれている。
又、当美術では"Ländliche Atmosphäre"(田園的雰囲気)が好まれたので、風景の中には女性の傍らに羊と犬がいて、花籠も置かれている。
余はBoucherの絵画作品は1987年にParisのMusée de Louvreで大量に見たのと、我が地元Bandenburg州の都PotsdamにあるFriedrich大王様の居城であったSans Souci宮殿のGemäldegalerie(絵画館)更には首都BerlinのGemäldegalerieに数点あるのをはっきりと記憶している。
18世紀のRococoは余の最愛のKunststil(美術様式)であるが故、自分のAtelier(仕事部屋)も此の様式を模倣して形成している。
とは言え今回入手した此のドイツ製鉄版画を飾る空間がもう無いので、1階の我が家の事業所の壁に飾っている。
余の美術工芸品の収集趣味は未だ止まる事が無いので、我が家は住居としてだけでなく、最早「美術館」としての性質が相当強くなっている様である。

Th.Rousseau画伯の作品をいつの日か手に入れる事は余の念願であった。
と言うのは1986~87年に開催された巡回絵画展"Exposition du Musée Saint-Denis, Reims"(サン・ドニ美術館名品展)を余が訪ねた折、彼の2点の油彩画"La Mare"(沼地 1842~43年作) "L'Abreuvoir"(水飼い場 制作年不明)に途轍もなき感銘を受けたのであった!
其れ以来、余はTh.Rousseau画伯の作品に魅了され続け、機会ある毎にParisのMusée d'Orsayを始めドイツや日本の各美術館と特別展にて、彼の作品45点以上を油彩画中心にデッサン、銅版画と目の当たりにして来たのであった。
其の都度「Th.Rousseau画伯の作品を我が手元に置けたらどんなに幸せだろうか。」と憧れを抱いたが、彼の油彩画を買い取る等、昔の「公爵」から「伯爵」等の上級貴族、ないしは今日の「超富裕層」位でなければ到底不可能である。
辛うじて実家に昔の「男爵」(爵位第5位)程度の資産しかない余にとっては、此の様な銅版画が手に入っただけでも感無量の喜びなのである! 

参考にThéodore Rousseau(ルソー)画伯の略歴を以下の通り記す。
1812年4月15日、フランスの首都Parisでブティックを経営する裕福な家庭に生まれる。
J.F.Millet(ミレー)、C.Corot(コロー)、C.Troyon(トロワイヨン)、C.F.Daubigny(ドビーニー)、N.V.Diaz(ディアズ)、V.Dupre(デュプレ)の画家達と共にBarbizon(バルビゾン)村周辺に居住し、近隣の風景を描いた事から"L'Ecole de Barbizon"「バルビゾン派7星」と呼ばれた。
中でも特にMilletとは生涯の友情で結ばれていた。
1830年に単身フランス国内を旅行して歩いた事が後の画業に重要な意義を持つ様になる。
自ら「地方画家」を標榜し、博物学者、民族学者、地質学者の観点から、光と構図と風俗とを充分考慮した絵を描きたいと念願する。
1832年末から Fontainebleau(フォンテーヌブロー)を訪れ、エチュードとデッサンを制作する最中、森の神秘に深く感銘を受ける。
そして彼は「私は樹木の声を聴いた。 其の動きの驚き、形の変化、更には光の持つ特殊な魅力に至るまで、たちまちにして私は森の言葉の啓示を受けた。」と言っている。
次いでAlpen(アルプス)山岳風景にも感銘を受け、1836年から美術史家Théophile Thoré-Bürger(テオフィル トレ・ビュルガー)の勧めでBarbizonに住む事が多くなる。
1836年以来、長い間Salon(官展)で落選を繰り返していたが、1848年「2月革命」以降はSalonに復活し、長い雌伏の後ようやく陽の目を見る事が出来た。
更に晩年には日本美術に大層な関心を示したと言われる。
人生最後の年1867年には"Región de Honur"(レジオン・ド・ヌール)勲章(4等・Officier)を叙勲した。 

こうして額装した2枚の版画を手に取って見ていると、ふとKunstakademie Dresden(ドレスデン国立芸術大学)に於ける我が学生時代(1991~95年)を思い出した。我が母校には校舎が2軒あり、1つは観光地として世界的に有名な"Brühlische Terasse 1番地に立ち、ここにはAbteilung Malerei/Grafik(絵画/グラフィック科)とAula(大型企画/準備室)がある。
もう1つはGüntz Str.34番地に立ち、ここにはStudienangelegenheiten(事務局)、Kunstwischenschaft(学術), Bhünengestaltung(舞台芸術), Gemälderestaurierung(絵画修理), Maskenbildnung(仮面美術)等の学科、並びにBibliothek(図書館), 所謂 Kupferstichkabinett(銅版画室)が配置されている。
此のKupferstichkabinettでは16~20世紀のヨーロッパ絵画の巨匠達の膨大な数の版画(銅、鉄、石)、素描(デッサン、クロッキー)、水彩画、等が所蔵されており、当校の学生はこれ等を手に取って見る事が出来るのである。
余も学生時代には度々此のBibliothek(図書館)及び Kupferstichkabinett(銅版画室)を訪ね、数多くの巨匠達の作品、そして歴史的図書を閲覧させてもらった。
一般的には美術館で展示されている作品群を鑑賞する事は出来ても、作品を手に取って見る事までは容易には出来ない。
そう言う意味では大変有意義な経験をさせてもらったと今でも尚思えるのである。

更に5月20日、東京の古書店よりフランス製の画集"L'Univers de Théodore Rousseau"(H.Sprépel社・1976年)が届いた。
此の図書には彼の油彩画以外の技法(例:鉛筆、クレヨン、パステル、インク、水彩、グァシュ)によるEtude(習作)作品計35点が収録されている。
余はRousseau画伯の単独の画集は予てより長年に渡って探していたのだが、今まで全く見つける事が出来なかった。
そこで多数の美術書や購入した"Ecole de Barbizon"の展覧会の図録の中から彼の作品の画像をコピーしてファイルブックに整理して集めていた。
其れ故に此度入手した画集は残存数が少ない上に既に絶版になっているので、ある意味では希少価値があると考えられる。
同時期に大好きなRousseau画伯の銅版画と画集が手に入ったので、我が喜びは倍増したのである!
余は歴史的な美術工芸品を入手する度に、其のKünstliche Schönheit(芸術的な美)を楽しむだけでなく、其れ等が制作された遥かなる時代に憧憬の念を感じるのである。

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