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第1部: 新型コロナウィルスの実態と世界にもたらした甚大な被害

2020.03.19

今年の1月後半頃より新型コロナウィルスが世界規模で感染拡大を続け、世界中に不安と混乱を巻き起こしている。
此度のコロナウィルスは「新型」と冠するが如く、現時点に於いて其の実態の詳細は正確に把握出来ていない。
従って未だ完全な予防法、対処法も確立しておらず、特効薬すら開発されていない現状である。
 
近年のコロナウィルスの流行を振り返って見ると、2003年3月頃から中国、香港、ベトナムを中心にSARS肺炎(流行性呼吸器炎症候群)として流行し、WHO(世界保健機関)が世界に向けてこれ等の現地への渡航延期を勧告した。
其の感染力はインフルエンザウイルスに匹敵する程高く、感染経路は飛沫感染、空気感染、接触感染が挙げられる。
潜伏期間は2~7日ないしは10日で、主な症状として、倦怠感、頭痛、発熱、咳、肺炎、呼吸困難が認められる。
此の結果、感染者は8440人、内、死者は812人であった。
 
ところが今回の新型コロナウィルスは前回とは比較にならない程の規模で全世界(102個所の地域)にまで拡大感染して、人類の健康、公衆衛生のみならず、経済、交通にまでも甚大な被害、弊害をもたらしている。
現在までの統計を例として挙げると1月末の時点で全世界での感染者は7816人、死者は170人であったのが、半月後の2月15日には28か国で感染が確認され、約6万6000人が感染し、内1523人は死亡した。
更に1カ月後の3月16日には、全世界102個所の地域まで感染が拡がり、16万6814人が感染し、内6603人が死亡している。
中でも特にヨーロッパでの感染拡大が著しく、イタリアでは3月15日時点で感染者が2万人を超え、死者は1800人を超える程の猛威を振るっている。
死亡率は3%程度ではあるが、一度症状が悪化すると場合によっては短期間で死に至る事もあるので、特に病原体に対する抵抗力の弱い高齢者、幼児、呼吸器官に持病のある人には大変危険な病気である。

経済界でも3月9日にはニューヨーク株式相場ではダウ工業株30種の平均が先週末終値比で一時2000$を超えて下落し、此れに依って同市場では取引が一時停止された。
此の影響で全世界の平均株価は大幅に下落し、日本でも日経平均株価は1万9698円で取引を終了した。
又、ニューヨーク原油先物が8日の時間外取引で急落し、先週末の産油国の減産協議が決裂し、指標となるアメリカ産標準油種は一時1バレル=27$台まで値下がりした。
此の事から世界各国の投資家達の間では株価の損失を回避しようとする姿勢が一気に強まり、取引開始直後から売り一色となり、アジア市場、ヨーロッパ市場、そしてアメリカ市場でも揃って全面安の展開となり、ダウ平均株価は急速に値下がりした。
これ等の株価の大幅下落は2008年9月15日の所謂「リーマンショック」に匹敵する程で、経済基盤が崩壊する事無くして、伝染病による大幅な経済的没落は近年では異例の事態である。
 
更に東京商工リサーチが2月20日に新型コロナウィルスによる各企業への影響を調査した処、実に60%以上の企業が「既に悪影響が出ている」ないしは「今後悪影響が出る可能性がる」と回答している。
回答した企業を規模別に見ると、大企業(資本金1億以上)は31.5%、そして中小企業(資本金1億未満)は20.6%、残り48%が零細企業となっている。
産業別に見ると、卸売業、運輸業、製造業の30%以上が「既に悪影響が出ている」と回答し、「今後悪影響が出る可能性がる」と回答したのは製造業が最多で52%、次いで卸売業が47%と続く。
小売業では23.5%が「既に悪影響が出ている」と回答し、「今後悪影響が出る可能性がる」と回答した割合は42%に上った。
サービス業では特に飲食店と宿泊施設の打撃が深刻で、現時点で廃業に追い込まれている所も出て来ている程である。
対応状況について聞いた処、「対応策、手段がある」と答えたのは24%のみであるのに対し、「対応出来ない」は76%にまで上った。
各産業同様に、全世界の数多くの美術館、博物館、図書館、劇場、音楽ホール、映画館、等の文化施設が一定期間休館になり、展覧会、演劇、コンサート、スポーツ、祭典、等の各イベントまでもが中止を余儀なくされている。

3月16日にMedical DOCの編集部が東京慈恵会医科大学付属病院の感染症科・診察医長に今回の新型コロナウィルスについて取材した。
先ず、何故各国で致死率に顕著な差があるのかと言う質問に対して・・・・・各国全てを比較する
のは難しいが、感染者数が突出しているイタリアと南チョン国の致死率を比較すると、前者が7.3%、後者が0.9%と大きな差がある様である。
そして両国の70歳以上の感染者の割合を比較すると、イタリアで約40%、南チョン国で約10%と報告されている。
次に各国での感染者への対応について尋ねると・・・・・各国の対応の詳細までは不明だが、一般的に病院では感染者と非感染者との同室を避け、医療従事者は飛沫感染、接触感染を予防する為の個人用防衛具を着用する事、感染者を隔離するという処置では各国で共通している様である。
更に2種類の新型コロナウィルスが発生しているとか、其れ以上に変異していると言う情報もある事について尋ねると・・・・・今回の感染症の病原体である新型コロナウィルスSARS-CoV-2について調査した処、此れは主にL型とS型の2種類に分類され、S型からL型に進化した物と考えられている。
L型による感染者が約70%と割合が多い事から、L型の感染力が強いと推測される。
そして新型コロナウィルス感染者が重症化する要因について訪ねた処・・・・・新型コロナウィルス感染症での致死率は持病のある高齢者が高く、致死率上昇に関与する疾患として、心血管疾患、糖尿病、高血圧症、慢性呼吸器疾患、癌、等が挙げられる。
性別による死亡率の例として、中国では4万4672人の感染者の内、1023人が死亡したと報告され、其の致死率は男性:2.8%、女性:1.7%と算出されている。
ここでも同様に80歳以上の後期高齢者の致死率が14.8%と高かった事、前記の疾患を持つ人の致死率が高かった事も報告されている。
 
扨、此れより余の心理学を学んだ者としての私見を述べさせてもらう。
此度のコロナウィルスの蔓延によって人間の健康や衛生に世界規模で甚大な被害が出ているのは成程事実ではあるが、余は寧ろ「集団心理」に於ける所謂"Panic syndrome"(パニック症候群)がもたらしている"Abnormales soziale Phänomen(異常な社会現象)の方が遙かに世界の秩序を乱しているのではないかと思えるのである。
かつてドイツのNazis党首で独裁者であったA.Hitler総統(1889~1945年)は>Die Menschensammlung hat weibliches Charakter.<(群衆は女の様な性質を持っている。)と言っている。
其の他何人もの心理学者ですら似た様な事を提唱しているが、此の言葉は正に真実を言い当てている。 即ち
・群衆はデマや流言に影響され易い。
・群衆は未知の物事に拒否や恐怖を感じる。
・群衆は多数派の思考、行動をすぐに真似ようとする。
という事である。
医学的調査によると、女性は男性の2~3倍の割合で前記の"Panic syndrome"にかかり易いとの統計が出ている様である。
更に近年のインターネットの世界的な普及によって個人の情報収集能力は飛躍的に向上した。
其の影響で所謂「他人思考型」の人間が激増している。
此れに依って人間は有益な情報も多数得られる長所と同時に、有害な情報によって混乱、盲動する短所もあると言うジレンマが生じている。
 
今回のコロナウィルスの流行に関連して、様々なデマや流言が国際社会に混乱をもたらしている。
例: マスクへの過信、トイレットペーパー、衛生用品の異常なまでの需要の高まり、
   コロナウィルス感染の予防に効く薬品、サプリメント、加工食品を騙る出鱈目商法、
挙句の果てには、新型コロナウィルスは某国が「細菌兵器」として開発、散布した等と言う荒唐無稽な作り話まで出て来ている。
医学的知識から説明すると、インフルエンザ、及びコロナウィルスの体の大きさは1万分の1mm位なのだから、マスクの穴をいとも簡単に通過出来るのである。
詰まりマスクはウィルス感染症に対する絶対的予防にはならない。
又、医学界ですら未だ新型コロナウィルスの実態を完全に把握出来ていないのだから、此れを完全に予防する薬品、サプリメント等が社会に出回る筈が無い。
更にVirus(ウィルス)と Bakterie(細菌)の決定的な違いを述べると、細菌は単体でも生き伸びられるが、ウィルスは何かの生命体に寄生しないと生きられないのである。
従ってウィルスが何か物体(無機物)に付着しても長くは生き残れないという事である。
(※とは言え新型コロナウィルスは物体に付着した状態で最大7日程生き伸びるのだから厄介である!)

同様に此れも完全な予防策ではないのだが、余の個人的なウィルス対策を紹介する。
先ず、家事の一つとして、館の各部屋の窓を少し開けて1日中換気している。
(※何故ならウィルスは新鮮な空気中では活動力が著しく低下するからである。)
余はマスク等一切着用しないのだが、其の代り外出後家に帰ったら先ず直ちにエタノール系の速乾性消毒剤で手を十分に消毒する。
(※此の際、手の平、甲だけでなく各指の間も万遍に消毒して置く事である。)
次に口をコニャック(メチルアルコール40%)で消毒しながら飲む様にしている。
(※アルコール消毒は数ある消毒法の中でも特に効果的である。)
更に鼻の穴をヨード系うがい薬の原液を塗って消毒している。
其の他、定期的に体温計で体温、パルスオキシメーターで酸素指数を測定している。
(※コロナウィルスが体内に潜伏すると、倦怠感、頭痛、咳、呼吸困難、等の諸症状が現れなくとも、体温が37.5℃以上、酸素飽和度が94%以下(自覚症状の無い酸素欠乏状態)等の検査結果が出る。)
※其の他にも味覚、嗅覚が麻痺すると言う症状も報告されている。)
此の場合は医療機関で更なる専門的な検診を受けるべきである。
 
余が最も危惧するのは、再悪の場合コロナウィルスが夏頃まで流行して世界各国の首都や大都市で爆発的に感染拡大し、其の上何か別の病気が追い打ちをかける様に流行する事である。
コロナウィルスの死亡率は現時点で4~5%程度で、此れはインフルエンザウイルスの死亡率(2~3%)と大差は無い。
しかし一度他の死亡率の高い伝染病が併発したり、又は大規模な自然災害によって農作物に甚大な被害が出ると、此れは計り知れない脅威となるのである。
歴史的な例を挙げると、第一次世界大戦(1914~18年)の最後の年、戦場でインフルエンザが発生し、遂には其れが全世界で大流行してしまった。
此の結果、世界大戦で約944万2000人、其の後インフルエンザ大流行で2千500万以上の人間が死亡したのである。
今回の新型コロナウィルスは其の驚異的な感染力によって単に人類の健康、衛生に大損害を与えたのみならず、経済面でも大規模に人間と物資の動きを停止させる事によって、世界に甚大な被害をもたらしたのである。
即ち数多くの感染者、死者のみならず、膨大な数の貧困者が増える事にもなるのである。
其れに対する恐怖、不安、苦しみを感じる大勢の人々の事を知って、裕福で平和な日常生活への有難味と幸福感を改めて認識させられている今日此の頃である。

此度のコロナウィルスを発端とする世界的被害を観察して余は思うに、実に危険なのはコロナウィルスより、人間のEinbildung(妄想)とWahnsinn(錯乱)である!
此度の世界規模の経済の大混乱、没落、交通の停滞、閉鎖はウィルスよりも人間の妄想と錯乱に依る処が大であると思われる。
此の様な大惨事に陥らない為にも、人間は何よりも先ず「真実」(Wahrheit)を見極める感性(Wahrnehmung)又は「心眼」(Geistige Augen)を養う事である。
人間の「五感」即ち視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の内、視覚は五感の70~80%を占める程重要である。
故に世の中には肉眼だけで物事を見る人間が大多数である。
しかし「心眼」でなければ見えない真実もある。
此の「心眼」を養う要因となるのが仏教で言う「智慧」なのである。
此の「智慧」とは教育機関に於ける学習や書物で取得出来る「知識」とは別物である。
此れを獲得する為には、何よりも先ず自分の精神を乱す事無く統一し、そして「理性」に従って修養する事である。

4月3日の追伸:
此の日、新型コロナウィルスは更に感染拡大を続け、全世界に於ける感染者は103万628人、死者は5万4137人にまで増加した。
全世界ではイタリアやスペイン等の様に各病院が患者の収容能力の限界を超え、医師、看護師、そして医薬品、医療器具が不足する危機的な状況に陥っている国もある。
更に世界各国で「非常事態宣言」が発令され、此の結果各国の首都圏、多くの大都市、極端な場合には国全体が封鎖状態を余儀なくされている。
同様にドイツでもヨーロッパでは前記の2国に次いで感染者が多い。(とは言え死亡率は比較的低い。)
余も地元Berlin, Brandenburgの友人達の事が気掛かりでドイツのプロバイダーのトップページや其の他のウェブサイトにて現状を調査して見た。
同国のGesundheitsminister(保健省)も此の事態を深刻に受け止め、特設のホームページにて注意事項、助言、指示を発令し、各国民からの相談を受け付ける様に処置している。
当ホームページのSchlagwort(標語)"Zusammen gegen Corona"(共にコロナに立ち向かう)は単純明快ではあるが、正に国民一同に課せられた姿勢であると思えるのである。
余としては此の感染拡大が一日も早く終息して、全世界の人類が平和で安定した日常生活を取り戻す事を願うばかりである!


第2部:世界に広がる新型コロナウィルスの脅威と各国の対策と措置
https://ameblo.jp/hochmeister/entry-12590585430.html
 

第3部:自然界からの警告と死神からの贈り物
https://ameblo.jp/hochmeister/entry-12592839483.html

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